E-1選手権って、無駄?
スター選手不在で「2軍戦」とも言われる大会。でも、本当に価値はないのでしょうか?
その存在意義を、ファンの疑問から紐解きます。
なぜ「価値がない」と思ってしまうのか?
サッカーファンが代表戦に一番期待するのは、国のトップ選手たちが集う「ベストメンバー」による真剣勝負。しかし、E-1選手権のピッチに三笘薫選手や久保建英選手といった欧州で活躍するスター選手の姿はありません。
FIFAのルールが壁に
この大会は、FIFAが定める「国際Aマッチウィーク」(クラブが選手を代表に派遣する義務がある期間)の外で開催されます。そのため、シーズン中の欧州クラブは主力選手の派遣を拒否できるのです。結果として、日本や韓国は国内組中心のチーム編成となり、これが「2軍戦」「本当の実力が測れない」という印象に繋がり、「見る価値がない」という声を生む原因となっています。
それでも存在する「本当の価値」
価値①:国内組選手の「最大のチャンスの場」
普段は欧州組の影に隠れがちな国内組選手にとって、ここは代表監督に実力を直接見せる絶好のショーケース。この大会での活躍が、ワールドカップメンバー入りへの道を切り拓きます。
【過去の成功例】柿谷曜一朗、伊東純也、相馬勇紀など
価値②:代表監督にとっての「戦術の実験室」
W杯予選のような「絶対に負けられない戦い」では試せない新しい選手や戦術を、公式戦の場でテストできる貴重な機会。チームの選手層を厚くし、戦術の幅を広げるために不可欠な場です。
価値③:連盟にとっての「重要な収益源」
主催する東アジアサッカー連盟(EAFF)にとって、放映権料やスポンサー収入を得る最大のイベント。この収益が、ユース世代の大会開催など、地域全体のサッカー振興を支えています。
価値④:国同士の「プライドをかけた戦い」
たとえベストメンバーでなくとも、特に「日韓戦」は常に特別な意味を持ちます。歴史的なライバル関係が試合を熱くし、選手たちに独特のプレッシャー下での貴重な経験を与えます。
他の地域大会と比べてみると?
E-1選手権の仕組みは特殊なのでしょうか?実は、FIFAカレンダー外で独自の価値を持つ大会は世界中に存在します。下の表で、他の主要な地域大会と比較してみましょう。
大会名 | 主なメンバー構成 | FIFAカレンダーとの関係 | 大会の性格 |
---|---|---|---|
E-1選手権 (東アジア) | 国内組中心 | 期間外 | 新戦力発掘・戦術の実験場 |
ガルフカップ (中東) | A代表に近い | 期間外 | 地域の威信をかけた戦い |
AFF選手権 (東南アジア) | 国内組中心 | 期間外 | 地域内で絶大な人気を誇る |
ゴールドカップ (北中米カリブ海) | ベストメンバー | 期間内 | 公式の大陸王者決定戦 |
結論:E-1選手権は「別の価値」を持つ重要な大会
確かに、E-1選手権はワールドカップのような華やかなトップレベルの大会ではありません。しかし、「価値がない」と切り捨てるのは、この大会の一面しか見ていないことになります。
この大会は「A代表強化」という大きな目標に向けた、未来への投資の場なのです。
新しい観戦の楽しみ方
スター選手のプレーを見る代わりに、
「次の日本代表を背負うのは誰だ?」
という視点で見てみませんか?
そうすれば、未来のスターが誕生する瞬間を目撃できる、発見に満ちた面白い大会になるはずです。